■□■ チラ婆のチラシの裏 ■□■part.13

187: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:03:12 ID:???
婆の自分勝手な話。

お盆で娘が帰ってきたのね。
大学卒業して、今都会で一人暮らししてるの。
五日間くらい家にいたんだけど、毎日ずっと友達と出かけてて家でご飯食べることなんてないわけ。
家では寝るだけで婆と話をする時間もほとんどないわ。
帰省のたびにそうだからわかってたし、むしろ友達がいるのはありがたいことだと思ってるんだけどね。

でも今回、初彼ができたって話をきいて、婆はうれしさより寂しさが大きかったのに衝撃を受けたの。
地方都市出身の彼で都会永住を決意してるんだって。
そう聞いたら、急に浮かんできたのよ、都会の狭いアパートで娘が働く母ちゃんしてるところが。
パンをかじりながら化粧もそこそこに遠くの保育園まで送って行って満員電車に飛び乗って、夜は仕事残したまま走って迎えに行って、惣菜と作り置きの煮物なんかでご飯にして。
狭い部屋で走り回る子供を叱りつつ、どっちがお風呂入れるかで夫と言い合いなんかしたりして。

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188: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:03:34 ID:???
もしも、娘が帰ってきたら、
もしも近くに住むんだったら、
頼まれれば保育園の送り迎えや病気の時の引き取りや、習い事の手伝いや、そんなこともできたのかもって。

自分勝手なこと考えちゃうのよ。

今の家だって夫の単身赴任で婆は一人暮らし。
夫は家を売って賃貸マンションに移ろうと言ったけど、娘に帰る場所を残しておきたいから婆はここに一人暮らしを続けるわ。

189: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:03:56 ID:???
昔から思ってたの。
子供にしがみつく親にだけはなっちゃいけない。
子供が巣立った後に自分自身の人生を持たなきゃ、おんぶお化けのように娘に憑りついて彼女の人生を台無しにしてしまう。
だからずっと仕事をしてきたわ。
パートや非正規だけど、自分の特技を生かした仕事と、つまらない事務の仕事をダブルワークで。
それだけじゃなくて、学校や研修所みたいなとこを探してはステップアップをさせてきたの。
娘はずっと保育園と託児所で、寂しい思いもさせたし、あまり遊びに連れて行ってもやれなかった。
代わりに娘はガールスカウトみたいな(違うけど)集まりや、夏休みのキャンプみたいなのに参加させてきたの。
知らない人達の社会で適応できる能力を身に着けることが親から離れて行きる力になると思ったのね。
そのかいあってかどうかはわからないけど娘は1人暮らしで仕事も問題なくやってるみたい。
そして婆は相変わらず自分の仕事をしているわ。

190: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:04:16 ID:???
これって婆の目標が見事に実現したってことよね。

なのに、今、この寂しさは、なに?
この後悔はなんなの?

あれだけ苦労して身に着けた特技だって、たいしたお金になってないし、この先続けられる保障もない。
事務は所詮非正規の雑用でやりがいなんて全くない。
季節が巡るごとに体力の衰えを実感して、白髪が増えて、老眼が進んで、関節が痛みだして、まさに坂道を転げ落ちるだるまよ。

婆に何が残ったのかしら?

191: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:04:37 ID:???
私なりに必死に仕事をしてきたけど、でも、もしもあの時、娘が小さかった頃、もっと違うことをしてやっていたら、
母親の手を必要としていた頃にもっと一緒にいてあげたら、もっと愛情を注いでいたら、今どうなっていたのかしら。
仕事に出かける準備をしてる時、一人残されるのが寂しくて母の気を引きたくて必死に笑顔で話しかける娘に、怒鳴る代わりに仕事を減らしてそばにいることを選択していたら、今違う現実があったのかしら。

毒親で結婚や家庭に夢が持てなくて、自分が母親であることに自信がなくて、恐怖と罪悪感に押し潰されそうだったあの頃。
現実から逃げるように娘と過ごす時間を減らすのではなく、向かい合って湧き起こる娘への愛情を認めて素直に娘にそれを伝えていたら、そうしたら今何か違うものが自分に残されたのかもしれない。

そんな風に考えちゃうのよ。

結局、娘にそばにいて欲しいのよね。
彼女自身の人生よりも幸せよりも、婆が自分の寂しさを埋めたいだけなのよ。

自分勝手よね。
なんて自分勝手なのかしら。

192: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:04:55 ID:???
昔娘を遊ばせていた大型スーパーに何年振りかで行ってみたらね、もうすっかり様変わりしてるのよ。
買おうかどうしようか迷っていた子供服売り場も、けたたましいおもちゃ売り場もキッズコーナーもフードコートも。
代わりに見たこともないお店がたくさんあって、記憶にあるダサい婦人服や文房具のコーナーは姿を消してしまってたわ。
それだけの時間が経ったのね。
らせん階段を上るみたいに娘との時が休みなく続いて来て、今もこれからも続くんだと思ってたんだけど、
ふと下を見ると、知ってるはずの景色が全部なくなっていて、これから上る階段の上もまったく見通せない、そんな不安に襲われたの。

193: 名無しさん@おーぷん 17/08/15(火)20:05:10 ID:???
娘は今日都会に帰るはず。
婆は仕事だから、家を出る前に寝てる娘に声をかけて来たわ。
寝ぼけた娘は ぶ・ぅーむ とか音を出して寝たまま婆に手を振った。
寝顔が年を取らないのはなぜなのかしらね。
幼い頃そのまんまだったわ。

自分勝手な婆の独り言でごめんなさい。
聞いてくれた人がいたら、ありがとうを言うわ。

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