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317: 名無しさん@おーぷん 21/03/03(水)21:17:25 ID:am.v3.L1
高校を卒業して就職したのは俺が住むA市の西隣のB市にあるB工業という会社だったんだが、人事の課長曰く
「B工業はB市では大きく信用もあるのでもしB工業を辞めて別の会社に転職しようとしても、B工業のような良い会社を辞めるなんてと思われて心証が悪くなる」
と言うほどに管理職はB工業のネームバリューに自信があるようだったけど、A市出身の俺はB工業の名前は就職するまで聞いたことも無く
現場のおっちゃんに言わせると「東証一部上場町工場」で、簡単に言うとただのブラック企業だった。

仕事内容はそれなりにやりがいがあったものの景気が悪いとの理由で給料は上がらず、正直この会社に骨を埋める未来はまったく見えてこないまま数年が過ぎたとき、課長が変わった。

新しい課長は神経質そうな顔のいかにも性格に難アリな感じだったが、実際はまさに見たまんまの人間で、朝礼のときに
「もしも過労で車を運転して仕事帰りに事故をおこしたら、即解雇の手続きするからな」
と言ったり
(本当にやれば労基事案。だけど労基はB工業となあなあなので対処してくれないというウワサもあった)
「有給を取るななんて言って無い」
と言ったり
(有給の申請をすると残業時間から6時間引かれるので実質的に有給を取れない。それを見越して残業を6時間未満に抑えると仕事をしていないなどと言われるのはお約束)
はっきり言ってクソだったが、俺はこの課長に目を付けられた。

俺が働いていたのは工場内の一画にある部屋で、その中の機械を操作していて段取りのために応援に来てもらう時以外は実質一人で作業していた。
ある時課長がやって来て俺に
「おまえサボっているだろ」
と言ってきた。正直「ハァ?」なんだが、課長に言わせると「椅子に座って何もしていない」らしい。
作業中に記録を取ったり書き物があって椅子に座っている事をなんらおかしな事だと思わなかった俺にとって、この課長は一体何を言っているのかと猛烈な不信感を抱いたが、さらにその次のボーナスがありえないぐらい減らされていた。
査定方法から計算すると上司全員が最低評価をした場合の金額になっていて、タイミングからして課長が何らか手を加えたとしか思えず、
怒りと悔しさで腸が煮えくり返ったが、おかげで俺の腹は決まった。
「こんな会社いつでも辞めてやる」

ただ今すぐ辞めてしまうと課長の思う壺なので、とりあえず課長に対しては仕事をしているフリをすることにした。
結局のところ仕事をしているのに仕事をしていないと思われているわけだから、仕事をしているように見せていれば仕事をしていると思ってくれるのではないかと考え、無駄に動きまわるようにした。(もちろんやるべき事はやって、実質的な仕事量は以前と変わらないようにしていた)
結果その次のボーナスは普段どおりの金額だったので、効果はあったのだと思う。

そんな状況でいつ辞めてやろうかと考えていたとき、いきなり会社がシフト勤務をすると言いだした。
通常8時~17時のところ、7時~15時、15時~23時の2交代で、7時間勤務になるので一部土曜を出勤日とするとの事。
理由は公式には知らされて無かったがウワサとして聞いたところによると、ある時社長が工場内を見回っていて一言
「人が多いな」
と言ったらしい。
それに部課長連中が過剰反応して、シフト勤務によって工場内の人間を半分ずつ出勤させて見た目の人数を減らそうとしたらしい。
俺は一人作業で交代の作業者が居ないためシフト勤務に入らないのかと思えば俺にも入れと言われたので、辞める事が決定した。

ありがたい事にわざわざ仕事を15時からにしてくれたので出勤前に転職のために行動して、とりあえず派遣ではあったが次の仕事を確保し、3ヶ月ほどでシフト勤務は終わったもののその翌月には退職願いを提出した。
部長に呼ばれて留意されたがもちろん辞めないわけがなく、一応理由として「将来の金銭的不安」と「シフト勤務への不信感」をあげておいたが、どうやらシフト勤務については他の若手も2人ほどそれを理由に辞めるらしく部長が苦々しい顔をして、捨てゼリフのように
「どうせ今より良い会社には入れないだろうけどな」
と言われた。あんたもこの会社のネームバリューに自信があるのかよw
次に課長とも面談したが課長曰く
「(俺)の事は評価していたんだがな」
だと。オマエ以前何言ったか忘れたか?
俺はおそらく部長からは評価されていたようなので部長が評価しているから課長も評価しているという事だと思う。それとももしかして仕事をしているフリを見て評価したのだろうかw

B工業とB市に嫌気がさした俺はA市の東隣の県庁所在地方面で仕事を探し、それなりに名前の知られた大企業に派遣で入り、現在はそこの正社員をしている。
なので部長の捨てゼリフ
「どうせ今より良い会社には入れないだろうけどな」
を思い出すと笑えてくるw

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